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アナリスト対談

アナリスト対談

2017年10月5日 収録
医療品ネットワーク事業の加盟店拡大
繁村氏
2017年9月に医薬品ネットワーク加盟店が2,000店を突破されましたね、おめでとうございます。このところ、かなり早いペースで加盟店を増やされていると感じているのですが、その背景を教えて頂けませんか?
 田尻
ありがとうございます。当社では、1999年9月に医薬品ネットワークサービスの提供を開始して以降、加盟店が1,000店を超えるのに約14年かかりましたが、その後はわずか5年弱で加盟店が2,000店を超えました。

薬局の経営環境が厳しさを増す中、医薬品流通の合理化や業務の効率化を提供する当社ネットワークサービスの需要が高まってきており、最近は10-20店舗といった複数の店舗を持つ薬局の加入も増えてきています。また、当社では単にネットワークサービスを提供するだけではなく、薬局向けのセミナーを開催し、加盟店同士の交流・情報交換の場の提供や、薬局経営に関する講演といった経営コンサルティング機能を強化していることも、加盟店増加の背景となっています。業務提携先との協業では、2017年1月に提携した㈱CBホールディングスグループ等からの紹介も増えてきていますし、同5月に提携したオークラ情報システム㈱の在庫管理システム「薬VAN」と当社のジェネリック医薬品推奨機能を連携させる等、新たな営業活動を行い、加盟店の拡大につなげています。2018年3月の加盟店数の目標は2,200店ですが、このペースでいくと前倒しでの目標到達もあり得ると考えており、5年後の加盟店は全国の薬局の約10%となる5,000店を目指しております。

繁村氏

御社の事業はジワジワっと始まり、気が付いたら大きくなっているという場合が多いので、ジェネリック医薬品推奨機能と連携した「薬VAN」の営業開始等は将来非常に楽しみですね。

医薬品の流通改善
繁村氏
国民医療費の拡大抑制が議論される中、医薬品の流通改善に関しても以前から議論されてきていますが、御社での取組みは如何ですか?
 田尻

はい、超高齢社会を迎え医療費の拡大抑制が不可欠な状況下、ジェネリック医薬品の普及拡大等を背景に、医薬品市場は横ばいか縮小傾向が見込まれる中、製薬企業・医薬品卸・薬局間での流通コスト削減は急務であると考えています。当社では2015年に各業態の会社にお声かけをし、医薬品の流通改善を目的とした勉強会を発足させました。そして、その勉強会で議論した内容を提言書の形でまとめ「2025年の医療サプライチェーンの将来像とあるべき姿」という書籍を当社グループ会社から2017年6月に発刊しました。また、実務においても、医薬品卸から当社グループの薬局への医薬品配送に関して、コストのかかる緊急配送をほとんどなくしてきており、業界での議論だけでなく実際に医薬品流通コスト削減の取組を行ってきています。今後も、医薬品の流通に関する議論を医薬品卸等と継続し、更なるコスト改善を実現させていこうと思っています。

「かかりつけ薬剤師・薬局」制度と今後の薬局に関して
繁村氏
2016年4月に「かかりつけ薬剤師・薬局」制度が導入されました。導入の趣旨や完成度についてはどうお考えですか?
 田尻
患者の服薬情報を一元管理することは私たちが地域薬局として目指している姿であり、必要不可欠だと考えています。ただ、現行の制度ではかかりつけ薬剤師となるためには例えば3年以上同じ薬局での勤務が必要ですが、これでは薬剤師の適切な人事異動が行えません。当社としては、薬剤師の教育の観点から、2-3年程度でのローテーションが必要であると考えていますので、制度としての改善余地はまだまだあるのではないかと考えています。
繁村氏
「かかりつけ薬剤師・薬局」制度では、担い手として地元の薬局等への期待は大きいものの、現実的には薬剤師の人数などの問題もあり、地元の小規模な薬局での対応は困難な状態ですね。またドラッグストアも医師等との関係が希薄な店舗では浸透しにくいように見受けられます。こういう環境の中では、薬剤師への教育制度が整っており、医薬品に関するコンサルティング能力が高いチェーン調剤薬局が制度の担い手として活躍していくと思っています。

今後の薬局に関して考えると、患者の利便性を重視した例えばドラッグストアのような形態と、高いコンサルティング能力や高度医療等にも対応する専門性を発揮する形態が発展していくと思っています。これまでのように「門前薬局か、面分業か」という発想でなく、薬剤師の職能、薬局の機能が大事になります。また、医師、病棟薬剤師、薬局薬剤師がこれまで以上に連携を深めていくことが、薬剤師の価値そのものを高めてゆくことになりますし、調剤薬局チェーンの役割となっていくでしょう。御社のような調剤薬局チェーンは、薬剤師の教育システムを活かしてコンサルティング能力や専門性を高め、かかりつけ機能を発揮していく方向ではないでしょうか。

医薬品等ネットワーク事業の将来
繁村氏

今後遠隔診療が普及し、遠隔での服薬指導や医薬品配送の制度・システムが整えば、従来型の大病院前にある門前薬局の役割は大きく変わっていくのではないかと思っています。御社は、日本郵便と連携して、既に医薬品の配送サービスを行っていますね。また、医薬品ネットワーク事業という将来性のあるネットワークを持っていることから、例えば、ネットワークを遠隔診療における医薬品提供の際に活かしたり、調剤センターを作って新たな形の薬局事業を展開していくことも考えられます。今後ネットワーク事業に様々なサービスや、付加価値を加えていくことができそうですね。

 田尻

はい、医薬品等ネットワーク事業に関しては、現状の医薬品流通の合理化や業務の効率化といったサービスだけではなく、今後の薬局を取り巻く環境の変化に対応して、様々な新しい価値を提供していくプラットフォームになっていくと思っています。

複合的ビジネスモデルに関して
繁村氏
御社の事業構造は、医薬品等ネットワーク事業、調剤薬局事業、またサービス付き高齢者向け住宅運営等バランスの取れた複合的なものとなっていることから、田尻社長のお話を伺うと医薬品業界の現状と課題に関する多面的な内容が聞けるため、注目する人も多いと思います。
 田尻
ありがとうございます。
例えば、当社が運営しているサービス付き高齢者向け住宅に関しては、地域の医療機関と連携した複合型施設であり、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の一つの具体的な形を示しており、見学に来られる方から高い評価を頂いております。
繁村氏
確かに、言葉で「地域包括ケアシステム」と言われても、具体的にはどういうものなのだろうと思う人が大半ですよね。
 田尻
また、医薬品等ネットワーク事業に関しては、加盟店が増え5,000店になった場合、当社ネットワークを通しての医薬品購入は市場の10%を占めることになります。そうなると、市場に対して非常に大きな影響力を持つこととなり、非効率な業界慣行の改善や流通の合理化に関して、より大きな変化をもたらすことができるのではないかと思います。ジェネリック医薬品の分野においても、ネットワーク加盟店の増加や当社のジェネリック医薬品推奨機能を背景に、新たな仕組みを提案することができるようになると考えています。
薬局業界の動向に関して
繁村氏
最近の薬局業界でのM&A動向はいかがですか?
 田尻
薬局の経営環境が厳しくなる中でM&Aは活発ですが、良質な案件は買収価格が高くなってきています。当社では、投資採算に見合う案件に絞り、M&Aを取組んでいます。また、薬局業界のM&Aは、これまで大が小を飲み込む形での買収が主流でしたが、今後はより規模の大きな合併・買収や、大手調剤薬局チェーン同士の経営統合が出てくる可能性もあると考えています。大手チェーン同士の経営統合を成功させるには、お互いの企業文化や人材が非常に重要な要素だと思いますが、当社グループでは自由で風通しのいい企業文化のもと各事業で人材の登用を積極的に行っており、次世代の経営を担う人材が多く育っていると自負しています。
繁村氏
調剤薬局事業だけでなく、医薬品等ネットワーク事業の付加価値を更に高め、是非、早期にネットワーク加盟店5,000店とそれに見合った企業価値の実現を目指してください!
 田尻
ありがとうございます。がんばります。


繁村 京一郎 (しげむら・きょういちろう)

野村證券株式会社
グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部
医薬ヘルスケア・チーム・ヘッド
エグゼクティブ・ディレクター

社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
ヘルスケア業界に精通したアナリストとして、リサーチ活動を幅広く展開。